法窓小話

乱筆乱文にて失礼致します

過払い金返還バブルとトラブル

たまたまテレビをつけたら、NHKの「クローズアップ現代」で過払い金返還にまつわる弁護士トラブルについて放送していたのでついつい見てしまいました。ゲストには日弁連会長に決まったばかりの宇都宮健児氏が出ていました。

クローズアップ現代「過払い金が狙われる 〜相次ぐ弁護士トラブル〜」


実感としてここ数年の間に法律事務所のCMが増えてきた気がします。しかも、そのほとんどが過払い金に関するものです。このようなCMが増えたのは、過払い金返還の需要が高かったことを表しているのかもしれません。

私も、地方で何人かの弁護士から話しを聞く機会があったのですが、地方においても過払い金返還はいい仕事になっているそうです。ただ、私が話しを聞いた去年の時点ですでに過払い金返還のピークは峠を迎えており、次の食い扶持を探しているといった印象でした。実態はわかりませんが。


番組では、(うろ覚えですが、)(1)過払い金返還をおこなう業者の話題と(2)依頼者から異常に高い弁護士費用をせしめた弁護士の話題が中心でした。

(1)では、消費者金融の元社員が元顧客を相手に返還の仲介業務をして利益を稼いでいるというものでした。この元社員は市販の返還請求マニュアル本だけを使って請求するだけという見た感じ簡単なお仕事でけっこうな取り分を得ていたようです。ちなみにこのような行為は、違法な行為です(弁護士法72条参照)。

実際にこのような弁護士でない業者による勧誘については、国民生活センターに被害が多数報告されています。

国民生活センター「債務整理をするとうたった電話勧誘に注意!」同上 報告書本文(PDF)

債務整理に関する電話勧誘の相談件数は2004年度以降620件寄せられており、年々増加している。2009年度(10月末日までの登録分)の相談件数についても、前年度の同時期に比べ約3割増加している。

国民生活センター「債務整理をするとうたった電話勧誘に注意!」より


国民生活センターは、消費者に対して「顔の見える信頼できる弁護士等に相談すること」とアドバイスしていますが、(2)ではその弁護士に異様に高額な費用を請求されたケースが紹介されています。

このケースは、依頼者がある弁護士に過払い金返還を依頼したところ、100万円程が過払い金として返ってきたものの、費用(着手金や報酬など)として120万円近く(うろ覚え)請求されたというものです。返還される額よりも高い額を請求するのかよって失笑しましたが、この額は過払い金返還で通常請求される費用の倍以上のものらしいです。

このように過払い金返還にまつわる弁護士や司法書士の事件が一部でおきています。過払い金の申告漏れや、果ては過払い金の横領という犯罪までおきています。

asahi.com「過払い返還巡り申告漏れ」毎日jp「業務上横領:過払い金着服、司法書士を起訴−−地検 /富山」


過払い金返還にまつわる事件への対処について、宇都宮氏は、高校生への消費者教育や広報の充実を訴えていました。長期的に見たら前者は必要なのだろうとは思いますが(これとて決定的な対処法とまでも言えないかも)、今目前でおきている事件に対して日弁連としてどう動くのかが聞けなかったのが残念です。弁護士会法テラスについての広報の充実も必要でしょうが、当の弁護士や司法書士が不適当な行為に走るのを抑制するものにはならないでしょう。

ちなみに日弁連は以下のような指針を出しています。

日弁連「債務整理事件処理に関する指針」


今の過払い返還は一種のバブルのようなものですから、やがてこの手の問題も減少していくのかもしれません。ただ、過払い金返還が借金で苦しむ人をなんとか救済しようという流れからきていることに鑑みると、過払い金返還をカモにする業者や法律家のせいで債務者が二重に苦しめられるのは見るに堪えないものです。


では、また。